「喪帯(もおび)を普段使いにするなんて、縁起でもない?」 そんな着物界の固定観念を、いい意味で裏切ってくれる最高にクールなバッグが誕生しました。
大好きな作家「ぬいもの屋 個々」さんにオーダーしてから、完成まで実に2年。
こだわりの強すぎる私の要望を、どうやって形にしてもらったのか。オーダーのきっかけから、失敗した帯選び、そして理想を超えた完成品の詳細まで、じっくりご紹介します。
始まりは、作家さんの「挑戦」への共感から
オーダーのきっかけは、2020年の「ぬいもの屋 個々展」でのことでした。

吹き出し(会話): 「新ブランド『N/COCO』の立ち上げに向けて、一緒に作品の可能性を探ってくれるモニターになりませんか?」
それは、海外向けラインを見据えた新しいモノ作りへの挑戦。「真鍮&木の持ち手」という、個展のハガキを見たときから気になっていた独創的なパーツを使った企画でした。

個々さんの作品が大好きだから応援したい!それに、希望のデザインで作ってもらえるなら、このチャンスに乗っかるしかない……!
それは、海外展開も見据えた新しいモノ作りへの挑戦。作家さんの情熱に触れ、私は決めました。
その時の個展についてはこちら↓
デザインへのこだわり:妥協なき「横向き・クール」の追求
最初に伝えた私の要望は、作家さんを悩ませてしまうほど具体的でわがままなものでした。


「真鍮&木の持ち手」に一目惚れしたんですけど、展示されてる縦型じゃなくて、横向きで小ぶりなバッグにしてほしいんです!
実は、持ち手の形状的に横向きで作るのはかなり難しかったそうなのですが……。
「せっかく作ってもらうなら、なかなか買えずにいたコンパクトでクールなバッグにしたい」という私の思いを伝え、試行錯誤が始まりました。
フォルム: コンパクトな横向き。
テイスト: カワイイのは苦手。とにかく「クール」。
サイズ: カメラと財布さえ入ればOK。
用途: 飲み歩きや個展など、普段使いしつつも「とっておき」の高級感がほしい。
迷走した「帯探し」:ネット購入の落とし穴
「とっておき」の一点物にするため、自分でもリサイクル着物サイトで必死に帯を探しました。

楽天の「シンエイ」さんで金糸がキラキラな帯を見つけた!
これ、実物見てないけど絶対合うはず。個々さんに送ってみよう!

意気揚々と送った私に対し、プロの返答は冷静でした。

これ、実物は織りではなく『後染め』ですね。真鍮の持ち手も使ううちに渋みが増すので、この帯だと全体が落ち着きすぎて、持つと老けて見えるかもしれません。

老け見えは絶対イヤ!画面越しでは分からない質感の差を指摘してくれる……やっぱりプロに相談してよかった。
運命の「般若心経」:喪帯だからこその魅力
紆余曲折を経て、作家さんが探し出してくれたのは、「四国巡礼御朱印文様」が施された極めて珍しい喪の袋帯でした。

漆黒に並ぶ漢字の羅列。以前、個々さんが作られた「般若心経」の帯バッグが忘れられなかった私にとって、これ以上のものはありませんでした。
宗教的な枠を超えて、単純に「カッコいい」。まさに「COOL JAPAN」な佇まいです。
2年越しの完成:理想を超えた「1st作品」
翌年の個展会場で、そのバッグは待っていました。

気づきました? ご所望の帯バッグ、ようやく完成しましたよ。

完璧すぎる……!
喪帯の黒に、真鍮と木の質感が映えて、理想を軽く超えてる!

あまりの出来栄えに、作家さんから「新サイトのリニューアル素材に使わせてほしい」と頼まれるほど。
会場でもかなり反響があったそうですが、これは私のこだわりから生まれた、世界で最初の「1st作品」。この優越感は、何物にも代えられません(笑)。
細部に宿る「一生モノ」のクオリティ
手元に届いて改めて感動した、こだわりのディテールを紹介します。
異素材を楽しむ「オリジナル真鍮ハンドル」
ジュエリークリエイター・八石貴さん作のハンドル。
片面は真鍮、もう片面はウォールナット(木)で作られており、持ち方次第でガラリと表情が変わります。


驚きの収納力と使い勝手
天マチ付きのファスナーでガバっと開き、カメラと二つ折り財布がすっぽり。
内側にはスマホサイズのファスナーポケットもあり、細かなものも迷子になりません。

守りの「底ビス」
大切な帯を地面につけないよう、5箇所の底ビスも付いています。
芯地もしっかりしており、簡単に倒れることもなくバッグを守ってくれます。

結びに:タンスの眠りを「お気に入り」に変える
ショルダーチェーンの位置により「バッグが回転しちゃう」という1st作品ゆえの課題も見つかりましたが、それも作家さんと一緒に作り上げていった証。

粋な黒大島はもちろん、上品な色無地や、デニム着物×ブーツのカジュアルスタイルにも。このバッグは、私の着物ライフをより楽しくしてくれる最強の相棒になりました。


常識に縛られず、プロに相談しながらじっくり作り上げる時間は、本当に贅沢だったな。
次はどこへ連れて行こう?
もしタンスに「使い道のない帯」が眠っているなら、思い切ってプロの感性に託してみてはいかがでしょうか。きっと、毎日持ち歩きたくなるような新しい命を吹き込んでくれるはずです。
公式サイト:https://nuimonoyacoco.com/
Instagram:@nuimonoyacoco

