紋紗って何?紗との違いが分からず、実物を光に透かしてみた

紋紗の着物と光に透かして浮かび上がる織り柄の比較

骨董市グランデで、透け感のある夏着物を購入しました。
お店の方から「これは紋紗(もんしゃ)ですね」と教えてもらったのですが、家に帰ってからふと思ったんです。

紗は聞いたことある。でも「紋紗」って何?

昔、着付け教室では「絽や紗は、夏に着る透け感のある生地」と習っていました。
そこまでは分かるのですが、普通の「紗」ではなく、わざわざ「紋紗」と呼ぶのはなぜ?

調べてみると、「柄を織り込んだものが紋紗」という説明が出てきました。
そこで私が真っ先に見たのが、この着物に入っている青い雲取りのような柄です。

青い雲取り柄が染められた紋紗の夏着物

「これが柄だから紋紗ってこと?」と思ったものの、それなら柄のある紗は全部「紋紗」なのか……? なんだかよく分かりません。

無地以外の紗って、全部「紋紗」って呼ぶの……?

調べてもいまひとつ腑に落ちない。
こういうときは詳しい人に聞いてみよう、ということでFacebookのきものグループで質問してみました。

Facebookのきものグループで「紋紗って何?」と聞いてみた

調べてもいまひとつピンとこなかったので、Facebookのきものグループで質問してみました。

すると、着物に詳しい方から教えてもらったのが「からみ織り」のこと。

絽や紗は、糸をからませながら織ることで生地に隙間ができ、あの独特の透け感が生まれるそうです。そして紋紗は、その織り方によって生地そのものに模様が表現されているとのこと。

……ん? 生地そのものに模様?

ここでようやく気づく私。

あっ!見るところ間違えてた!

私は「柄を織り込んだものが紋紗」と読んでから、ずっと表面に染められている青い雲取り柄を見て、「これが紋紗の“紋”なのかな?」と思っていたんです。

でも、見るべきなのはそこじゃなかった。

染められた色柄ではなく、生地そのものの織り柄。

教えてもらった話をきっかけにさらに調べてみると、紋紗は紗の透ける部分に平織りなど異なる織り組織を組み合わせ、その見え方の違いによって文様を表現するものだと分かりました。

なるほど。それなら、この着物の生地自体をちゃんと見てみたい。
ということで、あらためて手元の着物をじっくり観察してみることにしました。

青い雲取り柄ではなく「生地そのもの」を見てみる

あらためて、購入した着物をじっくり眺めてみます。

光に透かす前の紋紗の青い雲取り部分

青い雲取り柄の下に、なんとなく生地の濃淡があるような……。あるような、ないような。

うーん……ぶっちゃけ、よくわからん!

普通に畳んだ状態では、いまひとつ見えません。そこで、生地を持ち上げて光に透かしてみました。

すると……。

光に透かしたら、別の柄が見えた!

光に透かして織り柄が浮かび上がった紋紗の生地

おおっ!

さっきまで分かりづらかった生地の中から、秋草や流水のような柄が白っぽく浮かび上がってきました。青い雲取り柄とは、まったく別の柄です。

見えたー!これか!

私が探していた「紋紗の柄」は、青い色柄ではなく、こちらだったんですね。

染められた柄のさらに下に、生地そのものの織り柄が入っていました。
同じ着物なのに、置いて見たときと光に透かしたときとで、こんなに印象が変わるとは。

ここでようやく「紋紗」という言葉と、目の前の着物がつながりました。

「からめる場所を変えて織る」って、こういうこと?

さらに、生地をアップで見てみます。

光に透かして織り柄が浮かび上がった紋紗の生地

近くで見ると、柄になっている部分と、それ以外の部分で、織り目や透け方が違うのが分かります。

紗は、糸をからませる「からみ織り」によって隙間をつくり、透け感を出した織物。
紋紗は、そうした透け方の違いや織り組織の変化を使って、文様を表現したものです。

なので、私の中では、

紗=透け感のある織物
紋紗=織りの違いによって文様を表現した紗

と考えると、かなり分かりやすくなりました。

近くで見ると、柄になっている部分と、それ以外の部分で、織り目や透け方が違うのが分かります。
生地の向こう側が透けて見えるほど薄く、この透け感の違いによって文様が浮かび上がっているんですね。

これが「織りで柄を出す」ってことか〜!

文章だけで読んでいたときにはピンと来なかったのですが、実物を光に透かしてみたら、一気に納得できました。

青い雲取りと秋草・流水は、そもそも別の「柄」だった

今回、私が混乱した原因は、「柄」という言葉を全部ひとまとめに考えていたことでした。

この着物の場合、

  • 青い雲取りのような柄 → 生地に染められた色柄
  • 秋草や流水のような柄 → 生地そのものに表現された織り柄

という違いがあります。

最初は「青い柄があるから紋紗なのかな?」と思っていましたが、そうではありませんでした。
紋紗かどうかを見るときに注目するのは、色柄があるかどうかではなく、生地そのものに織りによる文様が表現されているかどうか

ここが分かると、ようやく頭の中が整理できました。

実際に着ると、もっと柄が浮かびそう

畳んで置いた状態では分かりづらかった織り柄も、光に透かすとはっきり見えました。

ということは、実際に着たときも、生地が動いたり光が当たったり、中に着る襦袢の色が変わったりすることで、織り柄の見え方も変わりそうです。

はっきりプリントされた柄とは違って、光の加減でふっと浮かび上がる柄

そう考えると、紋紗ってかなり面白い生地です。派手ではないのに、見る角度や光によって表情が変わる。こういうところも、着物の奥深さなのかもしれません。

まとめ|私の中では「柄が浮かぶ薄いレースカーテン」

今回分かったことを、ものすごくざっくりまとめると、紗は透け感のある織物。そして紋紗は、その透け方や織りの違いを使って、生地そのものに文様を表現した紗ということでした。

今回の着物なら、

  • 青い雲取り → 染めによる柄
  • 秋草や流水 → 生地に表現された織り柄

ということ。

そして私の中では、*「柄が浮かび上がる、薄いレースカーテンみたいなもの」と思うと、ものすごく腑に落ちました。

もちろん本当の定義が「レースカーテン」というわけではありません(笑)。
でも、透ける部分とそうでない部分が組み合わさって、柄が浮かび上がってくる。
そう考えると、イメージしやすかったんです。

着物の世界って、本やネットで文章を読んだだけでは、なかなか実物と結びつかないことがあります。
今回も「紋紗って何?」と調べているだけでは、ずっとモヤモヤしたままでした。

でも、人に教えてもらって「見るところが違った!」と気づき、さらに手元の着物を光に透かして「おおー、本当に柄が見えた!」となったことで、一気に理解できました。

昔なら、本を探したり先生に聞く機会を待ったりしていたような疑問も、今はSNSで着物好きさんに聞ける時代。
教えてもらったことを、その場で自分の着物を見ながら確かめられるのも、今ならではの着物の楽しみ方だなと思います。

またひとつ、着物の生地を見る楽しみが増えました。

この紋紗と出会ったのは「骨董市グランデ」

今回じっくり観察した紋紗の着物は、東京ビッグサイトで開催された「骨董市グランデ」で一目惚れして購入したものです。

刺繍帯とどちらを買うか散々迷った末に選んだ一枚。当日の会場の様子や、ほかに気になったアンティーク着物のお店、購入したレトロな半衿などは別の記事にまとめています。

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