今年も「ぬいもの屋 個々」さんの個展へ行ってきました。
2026年の個々展は、9月30日から10月4日まで世田谷区羽根木のWASABI-Elişi(ワサビ・エリシ)2階「atölye B」で開催。私が伺ったのは10月3日の土曜昼下がりです。
これまでにも何度か足を運んでいる個々展ですが、今回はこれまでの会場レイアウトも変更され、また並んでいるバッグの雰囲気がいつもと少し違って新鮮でした。
今回の主役は、素朴な風合いの帯
小スペースな個展の部屋にはすでにお客さんが4〜5人。作品を見たり、作家のタカコさんと話したりと和気あいあいな雰囲気。
そして今回の作品は、いつもの金糸・銀糸入りの華やかな袋帯とは一線を画す、紬など素朴な風合いの帯を使ったバッグ達です。

金糸や銀糸の入った帯は、素材そのものに華やかさがあるけど、バッグに仕立てても存在感が出やすく、写真でも映える。
一方で、ざっくり柔らかな帯を使うと、どうしても「普段使いの和装バッグ」に寄りやすい。そこにレザーや真鍮を合わせて、少し尖った雰囲気まで持っていくところが、ぬいもの屋 個々さんらしいなと思います。

帯バッグなのに、いかにも和装バッグで終わらないのが好き。

帯だけを見ると素朴なのに、異素材が加わることで一気に現代的になる。素材の組み合わせ方ひとつで、ここまで印象が変わるんだなあと、つい細かいところまで見てしまいます。
前後で違う素材を使い、見る側によって表情が変わるバッグもありました。ひとつのバッグなのに印象がかなり違って、こういう遊びのある作品は見ていて楽しい。

ひとりで行ったのに、いつの間にか輪の中へ
今回はひとりで伺ったのですが、会場には常連の方が何人も。タカコさんとオーダー相談をしている様子を見ているうちに、私も自然と会話に混ざっていました。

柄を出す部分、このあたりはいかがですか?

鳥が好きだから、そこに出すのもいいわね。

それだったらバッグのサイズをもう少しだけ縦に長くして、全部絵柄を出すのもアリじゃないですか?
初めて会った方同士なのに話がどんどん広がっていく。小さな個展ならではの距離感で、私も人のオーダーにあれこれ口を出しつつ、楽しく眺めていたわけですが――。
そのうちタカコさんが、頃合いを見たようにある素材を出してきました。
黒繻子に薔薇刺繍。これは私向けでは?
出てきたのは、黒い繻子地に大きな薔薇が刺繍された帯。


これ絶対、私向けやん。
アンティーク刺繍が好き。しかも薔薇柄。さらに保存状態もかなり良く、タカコさん自身も「これは掘り出し物」と大絶賛です。
赤、黄色、オレンジ、緑と、黒地の上にかなり鮮やかな色が並んだこの帯、好みでいえば、ものすごく好き。
ただ、好きだからこそ気になることも…

かわいいけど、これ私にはカラフルすぎない? 年齢的に大丈夫かなあ。
そんなことを何度も言っていると、さっきまで私が皆さんのオーダー話に参加していたのと逆で、今度は周りのお客さんからこちらが背中を押される番になりました。
「いいじゃない」「似合いそう」と言われると、気持ちは当然ぐらつきます。
実は、黒を基調としたバッグも欲しかった
さらに悩ましかったのが、今回展示されていた黒い卵型のバッグ。
私は以前、アンティークのキジ刺繍が施された黒繻子帯を使って、個々さんにバッグを仕立ててもらってました。
そのときは作ってもらったのはベースが白銀のレザー製。白銀同士で使うとすごく好きなのですが、黒繻子の刺繍と合わせたときだけ、自分の中でどうしても気になる見え方がありまして。

白いご飯に海苔を巻いたおにぎりみたいに見える……。
完全に私だけの感覚なんですけどね。
だから、いつか黒を基調としたバッグも欲しいと思っていました。今回展示されていた黒い卵型バッグを見た瞬間、「これ、ずっと欲しかった方向では?」となったわけです。
そこへ、さっきの黒繻子の薔薇刺繍の帯。組み合わせを想像したら、かなり危険な状態に…
欲しい。でも今年は使いすぎている
問題は、今年すでに春からかなり使っていること。
着物も帯も買ったし、小物も増えました。骨董市にも行っている。ここでまたバッグまで追加していいのか、さすがに即決はできません。
展示品なら少しお得にできるという話も出て、さらに心が傾きます。

欲しかった黒ベースのバッグ。しかも薔薇。いや、でも今年ほんと使いすぎてる。
買う、やめる、やっぱり欲しい。そんなことを繰り返しながら、たぶん1時間くらい悩んでいました。
周りのお客さんは楽しそうに背中を押してくるし、タカコさんもこちらの好みをよく分かっている。個展会場って怖い(笑)。
やっぱり薔薇刺繍をオーダー
散々迷ったものの、やっぱり薔薇の刺繍を使ったものをオーダーすることにしました。
完成予定は年末。今すぐ出費というわけではなく、少し先の仕上がりになるので、先延ばしのお支払いだからOKにしよう。
買わなかった未来を想像すると、たぶんあとになって「あの薔薇、やっぱりお願いすればよかった」と思う気がしたんですよね。
好きな作家さんには、できる範囲で作品を購入するという形でも応援したい。もちろん毎回何でも買えるわけではないけれど、今回の薔薇刺繍は、アンティーク刺繍が好きな私にとってかなり特別でした。

使った分、また仕事がんばろう。
年末、どんな仕上がりになるのか今から楽しみです。
2026年の個々展は終了しています
今年もタカコさんとお話ししながら、作品をあれこれ見て、しっかり悩んで(笑)、楽しい時間になりました。
最後に一緒に記念写真も。

個々さんのバッグはこれまでにも何度かオーダーしていて、過去の個々展やバッグの記事も残しているので、ご興味出た方は是非あわせてお読みくださいね。
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