関西旅行の最終日、以前から気になっていた手織り体験をしてきました。
訪れたのは、北野天満宮の近くにある「奏絲綴苑(そうしつづれえん)」。西陣の伝統工芸「綴織(つづれおり)」を手軽に体験できる工房です。
織り機に触れるのは今回が初めて。単純な作業に見えて実際に手を動かしてみると予想以上に難しく、職人さんの技術のすごさを肌で感じる時間になりました。
京都で見つけた、3時間のつづれ織り体験
2026年10月19日、関西旅行の3日目。
今回の関西旅行、前日はUSJを一日遊び倒す予定だったので、「翌日の京都では落ち着いて和のものづくり体験がしたい!」と事前に計画。探す中で見つけ、楽しみに予約していたのが奏絲綴苑の手織り体験でした。
約10cm四方の絹糸コースターを3時間ほどで作るコース(体験料5,500円)です。
大阪のホテルをチェックアウトして京都へ向かい、12時ごろ工房に到着。
スーツケースを預かっていただいてから、すぐ近くの北野天満宮を少し散策し、13時にいよいよ体験スタートとなりました。

工房は味のある長屋の一室にあり、中に入ると大きな織り機がずらり。奥には女性の職人さんが黙々と織り進める姿も。

この日の体験は私とアメリカから来られた女性の2名。通訳の方も同席されており、先生もとても温かい雰囲気で迎えてくださいました。
紫から黄色へ。コースターの配色を考える
今回作るのは絹糸を使ったグラデーションのコースター。見本を拝見するとどれも素敵で目移りしてしまいます。


せっかく自分で織るなら、好きな色を組み合わせたい。
ただ、私はこういう配色をその場で決めようとすると、きっと延々と悩んでしまう。
そこで、旅行前にChatGPTに相談して、紫から黄色へ変化するグラデーションにしようと考えていました。

実は、先生にこの画像を見せたところ、一瞬だけ表情が変わったような……。

プロに楯突くつもりはないんです!
インスピレーションがわかなかったから、イメージを固めるのに使っただけで……。
先生はすぐに「いいんですよ」と応じてくださり、絹糸を選ぶことになりました。
私が考えていた紫と黄色に加え、中間の色として薄緑や薄水色の糸も選んでくれます。

なるほど、単純に紫・青・黄色と並べるのではなく、いくつもの色を混ぜながら変化させていくんですね。選んだ糸を見ているだけでも、どんな織物になるのか楽しみです。
まずは絹糸を巻くところから
色が決まったらすぐに織り始めると思いきや、最初は「糸巻き」からスタート。
数色の糸を組み合わせて1本の糸になるよう巻いていきます。

巻き終えた糸は「杼(ひ)」という木製の道具にセット。

織り機には白い経糸(たていと)がピンと張られており、その間に杼を使って緯糸(よこいと)を通していく仕組みです。
先生のお手本を見ていると、糸を通して手前に寄せるだけのスムーズな動作。

これなら私にもできるかも?
足を踏み替えて、糸を通して、櫛で引き寄せる
先生と交代して、いよいよ自分で織ってみます。
緯糸を通したら、櫛のような道具で手前へザクザクと引き寄せる。そして足元のペダルを踏み替えて経糸の上下を切り替えます。

これが意外と難しい。足を踏み替えるたびに、次はどっちだっけ?と何度もわからなくなってしまいました。
手を動かすことに集中すると足元がおろそかになり、足を意識すると今度は手順があやふやに。
慣れてしまえば自然に動かせるのでしょうが、初めてだと頭も手足も忙しい。
ちなみに、今回体験で使っている経糸は、先生が普段作品を作るときのものより10倍ほど太いそうです。職人さんは、細い糸を道具ではなく爪で細かく寄せながら織るのだとか。
先生の爪先を見せてもらうと、ギザギザになっていました。私が櫛を使ってザクザクと寄せている糸を、もっと細かく、爪先で。
同じ綴織でも、体験用と職人さんの仕事ではずいぶん違うものです。
黄色から紫へ、少しずつ変わる色が面白い
織り始めはレモン色に近い黄色から。

少しずつ使う糸を変えていくと、徐々に黄緑や水色が混ざり始めます。
単色の糸を順番に並べるのではなく、途中で水色や青、紫が微妙に混ざり合った糸を使うため、思いがけない色がひょっこり顔を出します。

このランダムな混ざり具合が面白い。最後は濃い紫を中心とした色へ。
最初は「紫→黄色」のイメージで考えていましたが、実際の工程としては「黄色→紫」の順で織り進め、無事にグラデーションが繋がっていきました。

単純に色が切り替わるのではなく、何色もの絹糸が混ざり合っているからこその表情。どんな色を組み合わせ、どの順番で変化させるのか。このあたりの配色センスも、長年織物に携わってきた職人さんの腕なのかなぁと思いました。
完成!……と思ったら、ちょっと台形?
織り始めて約2時間半。用意していただいた糸をすべて織り込み、先生に経糸をカットしてもらって完成です。

黄色から薄緑、水色、青、紫へと移り変わる繊細なグラデーション。思っていた以上に複雑な色が混じり合い、なかなかきれいな仕上がりです。
……ただ、よく見るとひとつ気になる点が。
織り進めるうちに、だんだん糸をきつく引き寄せるようになっていたのか、最初はふんわりしていたのに、後半は幅が狭くなっていました。
つまり、四角いコースターのはずが、ちょっと台形。

力加減のコントロール、性格が出ちゃったかな……。
きれいな正方形にはならなかったけれど、これも初めて自分で織った作品。失敗したところも含めて、いい思い出になりました。
絵画に見えた作品も、実は織物だった
体験後、工房に飾られている職人さんの綴織作品も見学させていただきました。特に印象に残ったのが、シャクナゲの花を描いた作品です。

遠目で見ると完全に水彩画や日本画にしか見えません。でも、ぐっと近づいてみると、ようやく織物の細かな糸の表情が見えてきます。
私が織ったコースターとは、糸の細さも表現の細かさもまったく違う。織物でここまで絵画のような表現ができるということに驚きました。
ほんの数時間の体験でしたが、自分で糸を通してみたからこそ、この細かさがどれほど大変なのか、少しだけ想像できるようになった気がします。
初めてのつづれ織り体験を終えて
13時に始まった体験は、あっという間の3時間でした。
何度も足を踏み間違えたり、糸をきつく引き寄せすぎたりと、思うようにいかないこともありました。それでも、絹糸の色が少しずつ変わっていくのを見ながら織る時間は楽しかったです。
先生だけでなく、一緒に参加したアメリカ人女性ともおしゃべりでき、、とても温かい時間を過ごせました。
今回は3時間のコースを選びましたが、奏絲綴苑ではキーホルダーやストラップなど短時間で作れるメニューもあります。旅程に合わせて選べるのも嬉しいところ。

完成したコースターはちょっと台形ですが、色合いは満足いくものとなりました。

先生色の組み合わせを整えてくれてありがとう。
今回体験した工房:奏絲綴苑(そうしつづれえん)
- 場所:京都市上京区西柳町590-8(北野天満宮近く)
- 体験内容:絹糸のグラデーションコースター作り
- 所要時間:約3時間
- 体験料金:5,500円
- 開始時間:13時〜
- 予約:事前申し込み制
※料金・時間は2026年10月の体験時点の情報です。


