2011年3月11日に発生した東日本大震災。
連日流れる被災地の報道を見ながら、「ただ心を痛めているだけでなく、今の自分にできることはないだろうか」と考えていました。
そこで思いついたのが、着物のチャリティーバザー。

着物を集めてバザーを開き、その売上を義援金として届けよう
Twitterで呼びかけてみると、すぐにあたたかい反応があり、サークルとして初めての大きなチャリティー企画が動き始めました。
※この記事は2011年4月当時の記録を、2026年に旧ブログから移設・再編集したものです。
まずはスタッフで企画会議
思いついたからといって、すぐにバザーができるわけではありません。その週末、スタッフで集まり、開催に向けて具体的なことをひとつずつ決めていきました。
- いつ開催する?
- 会場はどこにする?
- 着物はどうやって集める?
- 配送で届いた荷物は誰が受け取る?
- 販売価格はどうする?
- 値札や包装は?
- 義援金はどこへ送る?
決めることは想像以上にたくさんあります。しかも「きもの結び」は、発足してまだ1年にも満たない趣味のサークル。着物業者でも、チャリティー団体でもありません。
一番心配だったのは「信用してもらえるか」
着物を寄付してもらい、それを販売して義援金にする。
言葉だけで説明すると簡単ですが、お金と寄付品を預かる以上、「本当に大丈夫な団体なの?」と思われても当然です。
震災直後ということもあり、スタッフで特に気にしたのが企画の透明性でした。

何のために開催するのか。売上をどうするのか。
まずは自分たちの考えをきちんと文章にして伝えよう、というところから始めました。実際、当時この企画を紹介してくださった着付け講師の方も、趣旨を確認するためスタッフと直接話をしたうえで協力してくださっています。
着物バザーは分かりやすい価格設定に
次に悩んだのが、商品の値段です。
私たちは着物業者ではないので、届いたリサイクル着物を一点ずつ査定して細かな価格を付けるのは難しい。
それよりも、できるだけ多くの人に買ってもらい、その売上を義援金として届けたい。
そこで素材や状態を大きく分け、手に取りやすいシンプルな価格設定にすることにしました。

買う人にとっても分かりやすく、値札を付ける私たちにも現実的。
チャリティーバザーらしい形だったと思います。
全国から着物の寄付が届く
WEBやTwitterで告知し、チラシも配布しました。すると、想像していた以上に「協力したい」と声をかけてくださる方が増えていきました。

着物の寄付は配送で受け付けることにしたため、全国各地から段ボール箱が届きます。中には、お手紙を添えてくださる方もいました。

会場を貸してくださった「六花」さんには、開催日まで荷物の受け取りと保管までしていただきました。本来はお稽古に使っている部屋なのに、日に日に段ボールが積み上がっていきます。
※当時の「六花」は、現在も大阪・中崎町で「きもの六花(ricca)」として営業しています。
きもの六花(ricca) | 大阪市北区中崎町 | 和裁・着付け
開けてびっくり。素敵な着物がたくさん
開催前々日、届いた段ボールを開けて仕分けを始めました。

寄付品だから、かなり着込んだ普段着が中心かな?
そんなふうに思っていたのですが、開けてみると状態のいい着物や帯、履物などもたくさん入っています。


嬉しい一方で、新たな心配も出てきました。

これだけ集まった着物、本当に買いに来てもらえるんだろうか。
売れ残れば業者さんへ買い取ってもらう予定でしたが、できればバザーで直接買ってもらったほうが義援金を増やせます。
新聞社に自分で連絡してみた

せっかく寄付してもらったのだから、少しでも多くの人に来てもらいたい!
そこで、新聞社にイベント情報を送ってみることにしました。開催直前にもかかわらず、梅田経済新聞がチャリティーバザーを取り上げてくれました。
さらに、その記事がYahoo!ニュースにも掲載。
まさか自分たちの小さな着物サークルの活動がYahoo!ニュースに出るとは思っておらず、かなり驚きました。元記事には当時のYahoo!ニュースの魚拓も残っています。

4月15・16日、チャリティー着物バザー開催
そして2011年4月15日・16日、いよいよ開催当日。
前日まで必死に仕分けしたのに、着物が多すぎて商品を全部並べきれません。


本当にお客さんが来るのかな?
そんな心配をしていましたが、朝からたくさんの方が来場してくださいました。
会場はそれほど広くなかったので、時間帯によっては入場を調整しなければならないほどでした。

お客さんまで一緒に着物を並べてくれた
着物は次々に手に取られていきます。商品が減れば、そのぶん新しい着物を段ボールから出して補充。スタッフだけでは手が足りません。
すると、お客さんが商品を出すのを手伝ってくれたり、普段からサークルに参加している人が着物を畳んでくれたりしました。

着物に詳しい人は、試着した方にコーディネートのアドバイスまで。
「スタッフでしたっけ?」と思うくらい、長時間手伝ってくださる方もいました。

差し入れまでたくさんいただいて、本当にいろいろな人に支えられた2日間でした。
前日からほぼ動きっぱなし
開催前日は、着物の仕分けに道案内、価格表のPOPづくり。直前に届いた商品をWEBへ掲載する作業まであり、朝から日付が変わるころまで動きっぱなしでした。
2日目には、さすがにちょっと壊れ気味。それでも、お客さんが楽しそうに着物を選び、話をしている姿を見ると、不思議と疲れも軽くなります。

「着物が好き」という共通点から始まったサークルが、こんな形で誰かの役に立つ活動につながる。忙しかったけれど、とても充実した時間でした。
2日間のバザーが終了
2日目の18時、チャリティーバザーは終了。あれほど山積みだった商品も、かなり少なくなりました。
そこから片付けに約3時間。段ボールでいっぱいだった部屋も元通りになり、最後は残った荷物を抱えてタクシーで帰宅しました。
一人の思いつきから始まったチャリティーバザー

バザーをして、売上を義援金として届けられないだろうか?
Twitterでそう呼びかけた、一人の思いつきから始まった企画でした。
でも実際には、着物を送ってくださった方、買いに来てくださった方、会場を提供してくださった六花さん、協力してくださった着物関係者、スタッフとその家族。
たくさんの人の協力がなければ、到底できなかったことです。本当にありがとうございました。
バザーの売上は、残った着物の買取分と合わせ、日本赤十字社を通じて義援金として届けることにしました。
今あらためて振り返ると、大阪城をみんなで歩いた頃には参加者の一人だったのに、この頃にはすっかり企画を考え、告知し、人を集めて運営する側になっていました。
「きもの結び」の活動の中でも、特に忘れられない出来事のひとつです。
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